虫歯の治療中に頬が腫れたら——様子を見ていい腫れと、すぐ受診すべき腫れを内科医が解説
虫歯の治療をしている最中や、治療のあとに、頬が腫れてきて驚かれることがあります。「治療したのに、なぜ悪くなったの?」と不安になると思います。歯の治療そのものは歯科の領域ですが、頬の腫れは、ときに体全体に関わる感染のサインになることがあります。内科の立場から、様子を見ていい腫れと、急いで受診すべき腫れの見分け方をお伝えします。
なぜ腫れるのか——多くは歯の感染が周りに広がったもの
虫歯が深く進むと、歯の神経や、歯の根の先にまで細菌の感染が及びます。その感染が、歯の周りのあご・頬の組織にまで広がると、腫れや痛みが出ます。治療をきっかけに、たまっていた膿や炎症が動いて、一時的に腫れることもあります。つまり頬の腫れの多くは、「歯の感染が、歯の外の組織に広がったサイン」です。
まずは「歯科」への相談が基本
原因が歯にある以上、対応の中心は歯科です。治療を受けている歯科医院がある場合は、まずそこに連絡し、状況を伝えて指示を受けてください。膿を出す処置や、歯の治療の調整、抗菌薬が必要かどうかの判断は、歯の状態を直接みられる歯科が行います。
ただし、これは危険なサイン——内科・口腔外科・救急へ
一方で、次のような症状を伴うときは、「歯の感染が体に広がりつつある」可能性があり、歯科だけでなく、内科や口腔外科、場合によっては救急の対象になります。我慢せず、早めに受診してください。
- 高い熱や寒気(悪寒)を伴う:感染が全身に及び始めているサインのことがあります。
- 口が開けにくい(開口障害):炎症が、口を動かす筋肉のまわりまで広がっているサインです。
- 飲み込みにくい、息苦しい、声が変わる、舌が持ち上がる、口の底(あごの下)が腫れる:これは特に危険で、のどの奥が腫れて空気の通り道が狭くなる状態(口の底の重い炎症)の可能性があります。命に関わることがあり、急いで受診が必要です。
- 目の周りの腫れ、目の動きや見え方の異常:上のあごからの感染が目の方へ広がるサインのことがあり、緊急の対応が必要です。
- 腫れが短時間でどんどん大きくなる、痛みが急に強くなる
糖尿病・免疫が下がっている人はとくに注意
糖尿病のある方、ステロイドや免疫を抑える薬を使っている方、体力が落ちている方は、歯の感染が重症化しやすく、進みも速いことがあります。「いつもの歯の腫れ」と思わず、早めに相談していただくほうが安全です。血糖のコントロールが乱れていると、感染がさらに悪化する悪循環にもなりやすい点も知っておいてください。
「想定内の腫れ」との見分け
抜歯などの処置のあと、数日のあいだ軽く腫れたり痛んだりするのは、ある程度は想定の範囲のことがあります。処方された痛み止めや抗菌薬を指示どおりに使い、冷やしながら様子をみて、徐々に軽くなっていくなら大きな心配はいりません。問題は、腫れが日に日に大きくなる、熱が出てくる、上に挙げた危険なサインが加わるときです。良くなっていく方向か、悪くなっていく方向かを意識してみてください。
やってはいけないこと
- 以前もらって残っていた抗菌薬を、自己判断で飲む(中途半端な使用は効きにくくし、耐性の原因にもなります)
- 腫れた部分を強く温める、もんだり触りすぎたりする
- 危険なサインがあるのに「歯のことだから」と我慢して放置する
まとめ
虫歯の治療中・治療後の頬の腫れは、多くが歯の感染の広がりで、まずは歯科への相談が基本です。ただし、高熱、口が開けにくい、飲み込みにくい・息苦しい、目の周りの腫れといった症状は、感染が体に広がる危険なサインで、内科や口腔外科・救急の対象になります。とくに糖尿病など持病のある方は早めの受診を。判断に迷うときは、無理をせずご相談ください。
参考文献
- 歯性感染症・口腔顎顔面領域の感染症に関する標準的な知見
- 感染症・救急診療に関する一般的な知見
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https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874