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一般内科・症状解説
一般内科・症状解説の記事(149件)
採血で「LDHが低い」と言われた:何が起きているのか徹底考察
LDHとは何か(まず前提) LDH(乳酸脱水素酵素, lactate dehydrogenase)は、糖代謝に関わる酵素で、筋肉・肝臓・心筋・赤血球など多くの組織に存在します。 この「どこにでもある」という性質のため、LDHは「高い」場合でも原因臓器の特定力が弱く、逆に「低い」場合はさらに解釈が難しくなります。 結論:LDH低値は、病気よりも「検査値の見かけ」をまず疑う LDHが低いと聞くと不安に
Bell麻痺と顔面神経痛は、そもそも別の病態です
「顔が動かしにくい」「顔が痛い」「ピリピリする」 これらは一見似ていますが、関与する神経も原因も異なることが多い症状です。 顔面の症状を理解するうえで重要なのは、 麻痺=運動神経の障害 痛み=感覚神経の障害 という大原則です。 顔の運動を司るのは「顔面神経(第7脳神経)」 Bell麻痺とは Bell麻痺は、顔面神経(第7脳神経)単独の末梢性麻痺です。 主な特徴は以下の通りです。 片側の表情筋が動か
過敏性腸症候群(IBS)網羅解説 ―「検査で異常がないのに症状がつらい」の正体―
1. 過敏性腸症候群(IBS)とは何か 器質的異常(炎症・腫瘍・潰瘍など)がないにもかかわらず、腹痛と便通異常が慢性的に続く機能性消化管疾患。 有病率:日本で約10%前後 若年〜中年に多い 生命予後には影響しないが、QOLを著しく低下させる 重要点: 「気のせい」「自律神経の乱れ」という曖昧な概念ではなく、病態生理が明確に研究されている疾患。 2. 診断基準(Rome IV) IBSは症状で診断す
自律神経の乱れ の正体
「自律神経の乱れ」という言葉は広く使われていますが、 これは医学的な診断名ではありません。 まずこの点を明確にしておく必要があります。 自律神経とは何か 自律神経は、意思とは無関係に身体の内部環境を調整する神経系です。 具体的には、 心拍数 血圧 呼吸 消化管運動 体温調節 発汗 などを制御しています。 自律神経は次の2系統から構成されます。 交感神経:覚醒・活動・循環促進に関与 副交感神経:休息
過換気症候群で「手足がしびれる」のはなぜか?
過換気症候群では、 「息が苦しい」「動悸がする」と同時に 手足がしびれる・指が固まるといった症状がよくみられます。 このしびれは、神経や血管の病気ではなく、 呼吸による血液の変化で説明できます。 ① 過換気で起きているのは「酸素不足」ではない 不安や緊張、パニック状態になると、 呼吸が速くなる 深く吸いすぎる という状態が続きます。 このとき体内では、 酸素が足りなくなる → わけではありません
ジベルバラ色粃糠疹(Pityriasis rosea)総説
概要 ジベルバラ色粃糠疹は、自然軽快することが多い炎症性皮膚疾患です。若年者に比較的多く、数週間〜数か月で治癒する経過をとります。強い全身症状を伴うことは稀ですが、発疹の見た目が特徴的で、初見では他疾患との鑑別が重要になります。 疫学 好発年齢:10〜40歳代 性差:やや女性に多いとされる報告あり 季節性:春・秋にやや多いとされるが一定しない 原因・病因 原因は確定していません 有力説:ヒトヘ
皮疹のない「帯状疱疹様神経痛」に抗ヘルペスウイルス薬はどこまで適応か(エビデンス重視)
結論から言うと、皮疹がない段階で「帯状疱疹(VZV再活性化)」と断定できないケースが多く、抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル/バラシクロビル/ファムシクロビル/アメナメビル等)の“標準的適応”は原則として成立しにくいです。一方で、皮疹を伴わない帯状疱疹(zoster sine herpete:ZSH)は存在し、検査でVZV再活性化が裏付けられる、または神経合併症が強く疑われる状況では、臨床的には帯
若年者の頻脈(洞性頻脈)についての考察
若年者でみられる頻脈の多くは、病的な不整脈ではなく洞性頻脈です。外来でも「動悸がする」「脈が速い気がする」という訴えはよくありますが、評価のポイントを整理すると、過度に心配する必要がないケースが大半です。 洞性頻脈とは何か 洞性頻脈とは、 心臓の正常なペースメーカー(洞結節)からの刺激で心拍数が増加している状態 を指します。 心電図ではP波の形・リズムは正常 心拍数のみが増加(通常100/分以上)
妊活中・妊娠中の抗ヘルペスウイルス薬使用の是非 ― アシクロビル/バラシクロビルは使ってよいのか ―
妊活中あるいは妊娠中に、 抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)を使用してよいのかどうかは、 医療者側が正確な安全性データを把握したうえで判断すべきテーマです。 特に、 妊活中に偶発的に内服した場合 妊娠判明前後に単純ヘルペスが再発した場合 妊娠後期の性器ヘルペス管理 といった 判断を要する場面は実臨床で確実に存在 します。 本稿では、日本の添付文書およびヒトでの疫学データをもと
耳の後ろが刺すように痛い 小後頭神経痛・大耳介神経痛についての総説
「耳の後ろがチクッと刺すように痛む」「触ると電気が走る感じがする」「頭を動かしたときに一瞬強い痛みが出る」。 このような症状は、後頭部から耳の周囲を走る末梢神経が原因となる神経痛で説明できることがあります。代表的なのが小後頭神経痛と大耳介神経痛です。 小後頭神経・大耳介神経とは 後頭部から耳の後ろにかけての感覚は、主に頸神経叢から分かれる神経で支配されています。 小後頭神経 第2頸神経(C2)由来
蕁麻疹の最新研究(2025年) ― 内科医の立場から、いま分かっていることだけを整理します ―
はじめに 蕁麻疹は、内科外来でも非常によく遭遇する症状のひとつです。 一方で、2025年は慢性蕁麻疹、とくに「慢性自発性蕁麻疹(CSU)」に関して、海外を中心に新しい治療薬の臨床試験結果が複数報告されました。 ただし、最初に明確にしておきます。 当院(ひろつ内科クリニック)は内科クリニックであり、 これらの最先端治療(生物学的製剤や新規分子標的薬)を実施する医療機関ではありません。 本記事は ・患
リフヌア(ゲーファピキサント)とは何か
リフヌアは、**慢性咳嗽(8週以上続く咳)**に対して2022年に日本で承認された新しい作用機序の治療薬です。 従来の「原因疾患を治療する咳止め」とは異なり、咳そのものの神経過敏を抑える薬という位置づけになります。 適応 既存治療(喘息、GERD、後鼻漏など)を行っても改善しない 原因が特定できない、または複数要因が絡む慢性咳嗽 作用機序:P2X3受容体拮抗薬 咳は「気道の知覚神経」が刺激されるこ
鶏肉とO157の関係
1. O157は「牛由来」が圧倒的に多い O157の主な保菌動物は牛 牛肉・牛レバー・牛由来の糞便汚染が感染源の中心 そのため、鶏肉はO157の典型的リスク食品ではない 2. それでも「ゼロではない」理由 鶏肉の生食でO157が起こりうる理由は以下です。 食肉処理場や調理環境での交差汚染 牛肉 → まな板・包丁 → 鶏肉 流通・調理段階での二次汚染 非常にまれだが、鶏がO157を保菌していた報告例
高トリグリセライド血症の治療薬を網羅的に解説します
健康診断や採血で「中性脂肪(トリグリセライド:TG)が高い」と指摘される方は非常に多く、外来でも頻繁に相談を受けます。 この記事では、日本のガイドラインを前提に、高トリグリセライド血症に対して使用される治療薬を、実臨床での使い分けが分かる形で整理します。 高トリグリセライド血症とは 日本動脈硬化学会では、空腹時中性脂肪(TG)150 mg/dL以上を高トリグリセライド血症と定義しています。 特に注
帯状疱疹に対する抗ウイルス薬の使い分け|内服・点滴・腎機能まで網羅解説
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が体内で再活性化することで発症します。 治療の中心は**抗ウイルス薬の全身投与(内服または点滴)**であり、発症早期に適切な薬剤を選択できるかが重要とされています。 本記事では、日本の診療ガイドラインを前提に、 ・使用される抗ウイルス薬 ・内服薬と点滴の使い分け ・腎機能低下時の注意点 を中心に、実臨床ベースで整理します。 抗ウイルス薬治療の目的 帯状疱
低用量ピルとトラネキサム酸併用で血栓症リスクは本当に上がるのか ―「過度に心配する必要はない」と言える根拠を整理する―
低用量ピル(OC/LEP)を内服中の方が、月経過多や肝斑治療などの目的で**トラネキサム酸(TXA)**を併用してよいのか、という相談は少なくありません。 とくに「血栓症リスクが重なるのではないか」という点がよく問題になります。 結論から言うと、現時点のエビデンスを総合すると、適切な患者選択と短期・適正使用であれば、併用を過度に恐れる必要はない、という整理が妥当です。 まず大前提:理論的懸念と臨床
帯状疱疹の治療薬と腎障害 ― 腎機能が低下している方は何に注意すべきか ―
帯状疱疹(Herpes zoster)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって起こる疾患です。 治療の基本は抗ウイルス薬の早期投与ですが、これらの薬剤は腎機能の影響を強く受けるという重要な特徴があります。 特に高齢者では、自覚のない腎機能低下を合併していることも多く、薬剤選択や用量調整を誤ると副作用リスクが高まります。 この記事では、帯状疱疹治療薬と腎障害の関係について、実臨床ベース
腕に「帯状の赤みと腫れ」が出たときに考える病気
腕の皮膚に、帯状(横方向・線状)の赤みや腫れが急に現れることがあります。いわゆる「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」として知られる細菌感染でみられる症状ですが、同じような見た目を示す他の病気もあり、原因によって対処が変わります。 今回は、医学的に根拠が確認されている範囲で、帯状の発赤が腕に出たときの主な鑑別疾患と考え方をまとめます。 蜂窩織炎(細菌による皮膚の炎症) 蜂窩織炎は、皮膚の浅い部分から皮下組
日本の年末年始の医療体制と備え(総説)
年末年始に医療体制が変化する理由 日本では、12月29日頃から1月3日頃まで多くの医療機関が休診となり、外来機能が一時的に低下します。 そのため、患者の受診先が限られ、救急医療機関・当番医に負荷が集中する構造が毎年みられます。 厚生労働省および各自治体は、これを「特定期間の医療提供体制」として整理しており、休日期間中は 自治体が指定する休日当番医 救急告示病院(ER機能) 小児救急拠点病院 夜間急
犬に咬まれたときの「破傷風」は大丈夫?
トキソイド・テタノブリンの適応と、最近の在庫不足についてわかりやすく解説します 犬に咬まれたとき、多くの方が心配されるのは「傷口の感染」や「狂犬病」ですが、実は破傷風(はしょうふう)のリスク評価もとても重要です。 破傷風菌は土壌などに広く存在し、傷口から体内に入ることで発症します。日本での発生数は多くありませんが、重症化することがあり、けがをした時点での適切な予防が大切です。 この記事では、一般の
低用量ピルでLDLコレステロールは上がる? 医師が最新エビデンスでわかりやすく解説
低用量ピル(経口避妊薬)は避妊だけでなく、月経痛の軽減やPMS改善の目的でも広く使われています。 その一方で「ピルを飲むとLDLコレステロール(いわゆる悪玉)が上がるのでは?」という質問をたまに受けます。 結論として、 低用量ピルの内服中にLDLが上昇することはありうる というのが医学的にも妥当な説明です。 ただし、多くは軽度で、変化が全くない方も多く、上がるかどうかは個人差があります。 ここから
若者の自然気胸について総論 (10〜30代に多い“突然の胸痛と息苦しさ”の正体)
自然気胸は、突然「胸が痛い」「息がしづらい」といった症状で始まることが多く、特に 10〜30代のやせ型の男性 にしばしばみられます。 肺の一部が破れて空気が胸腔に漏れ出し、肺がしぼんでしまう状態です。 1. 自然気胸とは何か 日本呼吸器学会の定義では、外傷や医療処置を伴わずに肺が破れて起こる気胸を「自然気胸」と呼びます。 そのうち明らかな基礎疾患がないものを 特発性自然気胸(primary spo
若者の低血糖症状について徹底解説(2025年版)
1. 低血糖ってそもそも何? 低血糖とは、「血液中のブドウ糖(血糖)が下がりすぎた状態」を指します。 日本では明確な数値の決め方は疾患や状況で少し異なりますが、 糖尿病治療中の文脈では 「血糖値が 70mg/dL 未満になった状態」を低血糖とする教科書・ガイドが多く、 海外のガイドライン(米国糖尿病学会など)でも、 レベル1低血糖:70mg/dL未満54mg/dL以上 レベル2低血糖:54
片頭痛の薬「トリプタン系」の副作用をわかりやすく解説
片頭痛の発作に使われる「トリプタン」という薬があります。 スマトリプタン(イミグラン)、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、ナラトリプタンなど、現在日本では複数の薬が使えます。 即効性があり、片頭痛治療の中心になる薬ですが、 「胸が締めつけられる感じがした」 「飲んだらめまいがあった」 といった相談も多く、初めて使う方は不安になることがあると思います。 今回は 日本