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感染症・流行情報
感染症・流行情報の記事(67件)
A型にかかったのに、またインフルエンザ? ― 1シーズンに2回かかる理由と、今やるべきこと【2026年2月第3週】
この記事の要点 2026年2月第3週、インフルエンザの流行が再び加速しています。 厚生労働省の2月16日発表(第6週:2月2日〜8日)では、定点当たり報告数が全国で43.34に達し、前週の30.03から大幅に増加しました[1]。 定点医療機関からの報告数は164,744人。33の都道府県が警報レベル(定点30以上)を超えています[1]。 福岡県も例外ではなく、福岡地区の定点当たり報告数は55.36
インフルエンザ後の長引く咳の正体 病態生理を中心に、エビデンスベースで整理します
この記事で扱う「長引く咳」の範囲 咳は持続期間で分類すると、一般に以下の枠組みで整理されます。日本呼吸器学会の咳嗽ガイドラインでも、この分類に沿って原因疾患を絞り込む考え方が示されています。 急性咳嗽:3週間未満 遷延性咳嗽:3〜8週間 慢性咳嗽:8週間以上 インフルエンザ罹患後に「熱は下がったのに咳だけ続く」という相談は、臨床的には遷延性咳嗽(3〜8週間)に該当することが多く、病態としては感染後
2026年2月最新 インフルエンザBは猛威を振るっているのか? ― 2026年1月以降のデータに限定して検証する ―
導入:評価軸をまず整理する 2026年2月時点で 「インフルエンザBが猛威を振るっているのか?」 という問いに答えるためには、評価に用いる期間の切り分けが不可欠です。 今シーズン(2025–2026)は、 2025年11月から12月にかけてA型が大きく流行 この時期の患者数・検体数が非常に多い という特徴があります。 そのため、シーズン全体(2025年秋〜2026年冬)を母数に含めて型別割合を評価
ゾフルーザは高い -タミフル(先発・後発)と薬価で比べるとどうなるのか-
インフルエンザ治療薬として広く知られている「ゾフルーザ」。 「1回飲めば終わり」という分かりやすさから、希望される方も多い薬です。 ただ、診療する側から見ると、どうしても伝えておきたい点があります。 ゾフルーザは、効果の問題ではなく、薬価そのものが高い薬です。 この点は、タミフルと比べると非常に分かりやすくなります。 まずは薬価の事実から 薬価(執筆時点の例) ・ゾフルーザ錠 20mg 1錠:2
ゾフルーザとタミフル 薬理作用の違いを「ウイルス増殖のどこを止める薬か」で深掘りする
インフルエンザ治療薬としてよく知られている ゾフルーザとタミフル。 この2剤は 同じインフルエンザ治療薬でも、薬理学的にはまったく別の場所に作用する薬です。 優劣で語る薬ではなく、 「ウイルス増殖のどこを抑える薬なのか」を理解すると、 両者の違いはかなりクリアになります。 まず押さえておきたい インフルエンザウイルス増殖の流れ インフルエンザウイルスは、体内で次のような流れで増えていきます。 ウイ
【続報】インフルエンザBとゾフルーザ ― 日本小児科学会2025/2026ガイドラインの“書きぶり”をもう一段深掘り ―
昨日の記事では、 「インフルエンザB型=ゾフルーザ一択」という風潮について、 医学的には断定できない、という整理を行いました。 この記事はその続報・補足です。 日本小児科学会の 2025/2026シーズン インフルエンザ診療指針 を改めて読み直し、 なぜ“Bにはゾフルーザ”という理解が広がったのか を、ガイドラインの記載内容に即して整理します。 小児科学会ガイドラインには「ゾフルーザ推奨」と書いて
インフルエンザBにはゾフルーザが「最もよい薬」なのか?
インフルエンザB型の患者さんが増えてくると、 「B型にはゾフルーザが一番いいらしい」 「タミフルはもうダメなの?」 といった質問を受けることがあります。 結論から言うと、 「インフルエンザBにはゾフルーザが最もよい」と断定できる根拠はありません。 ただし、近年ゾフルーザが選ばれやすくなっている理由は、医学的背景があります。 この記事では、その点を整理します。 抗インフルエンザ薬の基本的な位置づけ
魚の刺身で発症する可能性のある食中毒・感染性胃腸炎 ― 原因微生物・寄生虫を網羅的に整理 ―
刺身は日本の食文化に深く根付いた食品ですが、加熱を行わないという特性上、特定の細菌・ウイルス・寄生虫による感染症や食中毒の原因となることがあります。 本記事では、魚介類の刺身摂取後に発症しうる主な原因疾患を、病原体別に網羅的に解説します。 1. 細菌性食中毒 腸炎ビブリオ 原因:海水中に常在する細菌 特徴:夏季に多く、魚介類の常温放置で増殖 潜伏期間:数時間〜24時間 症状:激しい下痢、腹痛、嘔吐
HPV(ヒトパピローマウイルス)とは何か ― 最新エビデンスに基づく徹底解説 ―
HPV(Human Papillomavirus:ヒトパピローマウイルス)は、非常に一般的なウイルス感染症であり、性感染症としても知られています。一方で、「がんとの関連」「ワクチンの安全性」などについて、正確でない情報が混在しやすいテーマでもあります。 本記事では、日本のガイドラインを最優先に、事実とエビデンスのみに基づいてHPVを体系的に解説します。 HPVの基本構造と種類 HPVはDNAウイル
(2026年1月)全国的に感染性胃腸炎患者数が増えている理由
2026年1月に入り、全国的に感染性胃腸炎の患者数が増加しています。これは毎年冬にみられる典型的な流行パターンと一致しており、特に小児から成人、高齢者まで幅広い年代で受診が増えています。 以下、背景と臨床的に重要なポイントを整理します。 なぜ1月に増えるのか 感染性胃腸炎は、冬季に流行しやすいウイルス性胃腸炎が主因です。理由は明確です。 低温・低湿度環境でウイルスが安定する 室内での集団生活が増え
インフルエンザA型とB型の違いを、あえて症状だけで深掘りする
インフルエンザには主に A型 と B型 があります。 本記事では ・ウイルス学的な違い ・流行時期 といった話は最低限にとどめ、 症状の違いだけ を、医学論文に基づいて整理します。 まず結論:症状は「傾向」が違うだけで、重症度の上下ではない 日本の臨床データ・海外の大規模研究を総合すると、以下が現在の共通認識です。 A型とB型で「出る症状の種類」はほぼ同じ ただし 症状の出方・強調される部位に傾向
【2026年最新】黄砂の飛来が例年より早いと考えられる根拠と、注意すべき症状・対策
2026年は、日本への黄砂の飛来時期が例年より早い可能性が高いと判断されています。 これは感覚的な話ではなく、実際の気象観測・予測データに基づく事実です。 本記事では、 なぜ「2026年は黄砂が早い」と言えるのか それによって、どのような症状に注意すべきか 現実的で医学的に妥当な対策 を、根拠を明示しながら整理します。 2026年はなぜ「黄砂の飛来が早い」と言えるのか 1.1月の時点で日本への黄砂
2026年冬|感染性胃腸炎の全国的な流行状況【最新まとめ】
2026年冬(年末年始を含む時期)にかけて、日本全国で感染性胃腸炎の報告数は増加傾向が確認されています。例年どおり、冬季はノロウイルスを中心としたウイルス性胃腸炎が流行しやすい時期であり、今シーズンも同様の動きを示しています。 本記事では、全国向けに、現時点で公表されているサーベイランス情報をもとに、流行状況・原因ウイルス・注意点を整理します。 全国の流行状況(サーベイランス概要) 国の感染症発生
インフルエンザAに同じシーズンで2回かかることはあるのか ― 理論上は否定できないが、実臨床ではほぼ想定しない ―
インフルエンザ流行期になると、 「インフルエンザAに同じシーズンで2回かかることはあるのか」 という疑問が話題になることがあります。 この問題は、定義を厳密にしないと必ず議論が破綻します。 医学的に整理すると、結論は明確です。 同一シーズンにインフルエンザAへ2回感染することは、理論上は完全には否定できないものの、健常な一般集団では実臨床で想定すべき事象ではありません。 以下、その理由を論理的に説
【2026年1月最新】全国インフルエンザ感染状況 ― 今シーズンの特徴と注意点 ―
2025–2026シーズンのインフルエンザは、例年より早い時期から全国的に流行しています。 2026年1月時点の感染症発生動向調査をもとに、現在の状況を整理します。 全国の流行状況(2026年1月時点) 全国の定点医療機関からの報告では、 多くの都道府県で警報レベルを超過 全国平均の定点当たり患者数は警報水準付近で高止まり 流行は一部地域に限らず、全国規模で持続 という状況が続いています。 特に九
Edwardsiella tarda(エドワルジエラ・タルダ)とは
Edwardsiella tarda は、腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌です。 自然界では淡水・海水・魚類(特にウナギなど)に存在し、ヒトでは主に経口感染により感染します。 日本では魚介類の生食文化があるため、まれに便培養で検出される菌です。 感染経路 確認されている主な感染経路は以下です。 生または加熱不十分な魚介類の摂取 汚染された水の摂取 調理時の二次汚染(手指・調理器具) 人から人への感
感染性胃腸炎の感染経路|医学的に確認されているものをすべて整理する
感染性胃腸炎は、ウイルス・細菌・一部の原虫などを原因として発症し、 その感染経路は大きく分けると糞口感染を中心とした複数のルートが存在します。 以下、医学的に確立している感染経路を順に解説します。 1. 糞口感染(fecal–oral transmission) 感染性胃腸炎の最も基本かつ主要な感染経路です。 仕組み 感染者の便・嘔吐物に含まれる病原体が 手指・物品・食品などを介して 口から体内に
福岡県のインフルエンザ感染者数が全国でも最上位水準となっている現状について
福岡県のインフルエンザ流行状況(最新データ) 福岡県では、2025年冬シーズンに入りインフルエンザの流行が急速に拡大しています。 感染症発生動向調査(定点把握)によると、2025年第49週(12月1日〜12月7日) における福岡県のインフルエンザ定点当たり患者報告数は 65.56 でした。 この数値は、同時期の全国平均(38.51)を大きく上回る水準であり、都道府県別に見ても全国で最上位水準に位置
12月中旬以降のインフルエンザワクチン接種について 今年はインフルエンザAの流行が早かったが、それでも無意味ではない理由
今年のインフルエンザシーズンは、例年と比べてインフルエンザA型の流行開始が早いという特徴があります。 そのため、 「もう流行ってしまったのでは?」 「12月中旬以降にワクチンを打つ意味はあるの?」 と疑問に思う方も少なくありません。 結論から言うと、12月中旬以降のワクチン接種は、確かに“万能”ではありませんが、決して無意味ではありません。 その理由を、今年の流行状況とワクチンの位置づけから整理し
手足口病とは?大人にも起こる症状・治療・出勤の目安を医師が解説
夏から秋にかけて流行しやすい感染症として知られる「手足口病」は、子どもの病気というイメージが強いかもしれません。しかし実際には、大人でも感染することがあります。 この記事では、手足口病の基本的な特徴から、大人の場合の症状、治療の考え方、仕事を休む目安までを、医学的根拠に基づいて解説します。 手足口病とは 手足口病は、ウイルス感染によって起こる急性の感染症です。 主に小児に多く見られますが、保育や子
大人のアデノウイルス感染症が疑われたら 出勤停止期間はどれくらい? (最新ガイドライン準拠)
アデノウイルスは「子どもの病気」という印象が強いですが、実は 大人でも普通に感染します。 そしてもうひとつ大事なポイントとして、大人が職場で過ごす場合、 症状が落ち着く前に復帰すると周囲に広がりやすい ことが知られています。 今回は、大人がアデノウイルスに感染したとき、出勤をどうすべきか 日本のガイドラインに基づいて「はっきり」まとめます。 結論から書くと、 アデノウイルス感染症には 法的な出勤停
インフルエンザ薬(タミフル)予防投与外来を開始しました 福岡市博多区(2025年・当院自由診療)
インフルエンザの流行が続いており、同居家族が陽性となった場合など、「自分も発症して仕事や学校を休めない」という状況に備え、ひろつ内科クリニックでは タミフル(オセルタミビル)による予防投与外来 を開始します。 日本では、タミフルの予防投与は 家族内発症など特定の状況で使用されることがある とされています。発症抑制効果が報告されていますが、必ずしも発症を防げるわけではありません。医療用医薬品であり、
大人のアデノウイルス感染症(2025年版)総説
アデノウイルスと聞くと「子どもの夏風邪」というイメージを持つ方が多いですが、 実は大人でもかかる感染症 です。 症状は子どもより軽いことが多いものの、咽頭炎、結膜炎、腸炎、まれに肺炎 まで幅があります。 本記事では、日本の最新ガイドラインと信頼できる疫学データをもとに、大人のアデノウイルス感染症を整理します。 1. アデノウイルスとは アデノウイルスは 50種類以上の型 が存在するウイルス群で、
妊娠中のインフルエンザ治療:絶対過敏期・相対過敏期とタミフル/イナビルの安全性
妊娠中にインフルエンザにかかったとき、 「薬を飲んでも大丈夫なのか?」 「胎児への影響は?」 と不安に感じる方は非常に多いと思います。 ここでは、日本のガイドラインに基づき、**妊娠中の薬剤選択で必ず理解しておきたい「絶対過敏期・相対過敏期」**の考え方と、抗インフルエンザ薬(タミフル/イナビル)の安全性について整理します。 1. 妊娠中の“絶対過敏期”と“相対過敏期”とは? 絶対過敏期(妊娠4〜