健診でALPだけ高い——肝臓か骨か、ALPが高いときに内科が確認すること(測定法変更の注意も)を解説
健診の結果票で「ALP」に「H」が付いていた。肝機能の欄にあるけれど、ASTやALTは正常——こういう「ALPだけ高い」は、実は肝臓以外の原因のことが多い項目です。何を表しているのか、どう調べるのかを整理します。
ALPは「肝臓」と「骨」の両方から出る
ALP(アルカリホスファターゼ)は、肝臓・胆道・骨・小腸・胎盤など体のいろいろな場所で作られる酵素です。健診で測る血液中のALPは、主に肝臓(胆道)由来と骨由来の合計です。つまりALPが高いとき、まず「肝臓・胆道の問題か、骨の問題か」を分ける必要があります。
なお、2020年から日本のALP測定法が国際標準(IFCC法)に変わり、基準値がそれまでの約3分の1になりました。古い結果票と数値が大きく違って見える場合は、この測定法の変更が理由のことがあります。
ALPだけ高いときに考えること
- 胆道の問題——胆石、胆汁の流れの滞り(胆汁うっ滞)、原発性胆汁性胆管炎(中年女性に多い自己免疫の病気)。γ-GTPも一緒に高ければ肝胆道系由来の可能性が高まります
- 骨の代謝が活発——成長期の子ども、骨折の治癒中、骨粗鬆症の治療中、まれに骨の病気(骨軟化症・パジェット病・骨への転移)。γ-GTPが正常でALPだけ高いなら骨由来を考えます
- 妊娠後期——胎盤から出るALPで生理的に上昇します
- 薬——一部の抗てんかん薬・抗菌薬など
- 血液型(B型・O型の一部)で食後に小腸由来のALPが上がる体質の方もいます(無害)
- 甲状腺機能亢進症でも上がります
内科で調べること
まず、γ-GTP・AST・ALT・ビリルビンと合わせて「肝胆道系のパターンか」を見ます。骨由来が疑われれば、ALPアイソザイム(どの臓器由来か分ける検査)やカルシウム・リン・ビタミンDを追加します。胆道系なら腹部エコーで胆石や胆管の拡張を確認します。多くの場合、この範囲で原因の見当がつきます。
受診の目安
- ALPが基準値の2倍以上、または年々上がっている
- ALPに加えてγ-GTPやビリルビンも高い、黄疸・皮膚のかゆみがある
- 骨の痛み、骨折しやすい、身長が縮んだ
- だるさ・体重減少を伴う
「ALPだけ少し高い」で他が正常なら、経過観察でよいことも多い項目です。ただ、原因を一度整理しておくと、翌年以降の結果票の読み方が変わります。
参考文献
- 日本肝臓学会 一般向け情報「肝機能検査の見方」
- 日本臨床化学会「ALP測定法のIFCC法への変更について」(2020年)
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