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大人のヘルパンギーナ、のどが痛くて食べられないときの乗り切り方——脱水対策と受診の目安を内科医が解説

ヘルパンギーナというと子どもの夏かぜのイメージがありますが、大人もかかります。そして大人がかかると、高熱とともに「のどが痛くて食べられない・飲めない」ことが最大のつらさになります。

この記事では、ヘルパンギーナそのものの解説ではなく、「のどの激しい痛みをどう乗り切るか」「脱水をどう防ぐか」「どんなときに受診すべきか」という、実際に困る場面に絞って解説します。ヘルパンギーナの基本的な症状や治療については、当院の別記事でも解説しています。

大人のヘルパンギーナで一番つらいのは「のどの痛み」

ヘルパンギーナは、A群コクサッキーウイルスなどのエンテロウイルスによる感染症です。突然の高熱(38〜40度程度)に続いて、のどの奥(軟口蓋やその周囲)に小さな水疱やそれが破れた潰瘍ができ、強い痛みを起こします。

大人では、この咽頭の痛みが子どもよりも強く感じられることがあり、つばを飲み込むのもつらい、食事や水分がとれない、という状態になりがちです。ここで水分がとれないと脱水につながるため、痛みそのものへの対処と、水分・栄養の確保が大切になります。

似た病気との見分け(手足口病・溶連菌)

のどの痛みや発疹を起こす病気はほかにもあり、区別が紛らわしいことがあります。診断は診察と必要な検査によりますが、特徴の違いを知っておくと受診の助けになります。

  • 手足口病:同じエンテロウイルスによる感染症ですが、手のひら・足の裏・口の中などに水疱ができるのが特徴で、熱はそれほど高くならないことが多いとされます。ヘルパンギーナは発疹がのどの奥に限られ、高熱が出やすい点が異なります
  • 溶連菌感染症:細菌による感染症で、のどの強い痛みや扁桃の腫れ、白い付着物などがみられます。迅速検査で診断でき、抗菌薬による治療が行われます。ウイルス性のヘルパンギーナには抗菌薬は効きません

自己判断が難しい場合は受診してください。とくに、のどの痛みが非常に強い、扁桃が大きく腫れている、といった場合は溶連菌など別の病気の可能性もあるため、検査で確認することがすすめられます。

食べられないときの食事の工夫

のどの潰瘍は、刺激で痛みが強くなります。次のような工夫で、少しでも食べやすくなります。

  • 冷たくて、のどごしのよいものを選ぶ(ゼリー、プリン、アイス、冷ましたおかゆ、冷たいスープなど)
  • 酸味の強いもの(かんきつ類、酢の物)、塩味や香辛料の強いもの、熱いもの、固いものは痛みを強めやすいため避ける
  • 一度にたくさんではなく、少量を回数を分けてとる
  • 無理に固形物をとろうとせず、まずは水分とエネルギーの確保を優先する

「しっかり食べなければ」と気負わず、のどを刺激しないものを少しずつ、が基本です。

脱水を防ぐ水分のとり方

高熱と、痛みによる摂取不足が重なると、大人でも脱水になりやすくなります。

  • 水やお茶だけでなく、汗や発熱で失われる塩分(ナトリウム)も補える経口補水液が役立ちます
  • 一度に大量ではなく、少量ずつこまめに飲む
  • 冷たいほうがのどを通りやすいことが多いです
  • アルコールやカフェインの多い飲み物は利尿作用があり、水分補給には向きません

経口補水液の使い方については、当院の関連記事でも解説しています。それでも痛みで水分がとれない、飲んでも吐いてしまうという場合は、点滴で水分を補うために受診が必要になることがあります。

熱・痛みへの対処

治療は、ウイルスそのものを退治する薬はなく、症状をやわらげる対症療法が中心です。発熱やのどの痛みに対しては、解熱鎮痛薬が用いられることがあります。市販薬を使う場合は用法・用量を守り、持病や飲み合わせが心配な方は薬剤師や医師に相談してください。痛みで薬が飲みにくいときや、症状が強いときは受診してください。

受診・点滴を考える目安

次のような場合は、医療機関への受診をおすすめします。

  • のどの痛みで水分がとれない、飲んでも吐いてしまう
  • ぐったりして元気がない、半日以上尿がほとんど出ていない(脱水のサイン)
  • 高熱が数日続く、いったん下がった熱が再び上がる
  • 呼吸が苦しい、口が開けにくい、よだれが多く飲み込めない
  • 強い頭痛や繰り返す嘔吐、意識がはっきりしないなど、いつもと様子が違う

水分がとれずに脱水が進んでいる場合は、点滴で水分・電解質を補うことがあります。がまんして悪化させる前に、早めにご相談ください。

仕事・周囲への配慮

ヘルパンギーナは、法律で就業・出席の停止期間が定められた感染症ではありません。復帰の可否は、発熱がなく全身状態が回復し、食事や水分がとれるかどうかで判断します。

一方で、ウイルスは飛沫・接触・便を介して広がり、症状が治まった後もしばらく排出されるため、復帰後もしばらくは手洗いを徹底し、タオルや食器の共用を避けると安心です。とくに乳幼児や体調のすぐれない方の近くで過ごす場合は、衛生対策に配慮してください。

まとめ

  • 大人のヘルパンギーナは、高熱とのどの激しい痛みが特徴で、食べられず飲めずに脱水になりやすい病気です
  • 冷たくのどごしのよいものを少しずつ、刺激物は避けるのが食事の基本です
  • 水分は経口補水液などで少量ずつこまめに。とれない場合は点滴のために受診が必要なことがあります
  • 手足口病や溶連菌など似た病気との区別が必要な場合があり、迷うときは受診を
  • 水分がとれない・ぐったりする・尿が出ないといったサインがあれば、早めにご相談ください

参考文献

  • 国立感染症研究所(NIID)ヘルパンギーナ 関連情報
  • 厚生労働省 ヘルパンギーナに関する情報
  • 日本小児科学会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」

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