カロナールとロキソニンの使い分け——解熱鎮痛薬の違い、胃・腎臓・妊娠中の注意を内科医が解説
「熱にはカロナール、痛みにはロキソニン」——なんとなくそう使い分けている方が多いのですが、この2つは効き方も、体への負担のかかり方も違う薬です。どちらをいつ使うか、誰が避けるべきかを整理します。
効き方の違い
- カロナール(アセトアミノフェン)——主に脳に働いて熱を下げ、痛みを和らげます。炎症を抑える力はほとんどありません。胃や腎臓への負担が少なく、子ども・高齢者・妊娠中・授乳中でも使いやすいのが最大の長所。効果はロキソニンよりやや穏やかです
- ロキソニン(ロキソプロフェン)——NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一種で、炎症の元となる物質の産生を抑えます。炎症を伴う痛み(関節痛・筋肉痛・歯痛・生理痛)に強い一方、胃を荒らす・腎臓の血流を減らす・血液を固まりにくくする作用があります
使い分けの目安
- 発熱・頭痛・風邪の痛み→まずカロナール。安全域が広く、風邪の症状には十分です
- 炎症の強い痛み(腰痛・関節痛・歯痛・生理痛・けが)→ロキソニンが向く。ただし食後に、短期間で
- 子ども・妊娠中(特に後期)・授乳中→カロナール。妊娠後期のNSAIDsは胎児の血管に影響するため避けます
- 高齢の方→原則カロナール。ロキソニンを使うなら腎機能を確認し短期間で
避けるべき方
- ロキソニンを避ける: 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の既往、腎機能低下、心不全、アスピリン喘息(NSAIDsで発作が出る体質)、妊娠後期、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方(出血リスク)
- カロナールを避ける・減量: 重い肝臓病、アルコール多飲(肝臓への負担が重なります)
よくある誤解
- 「カロナールは効かない」——用量が少なすぎることが多いです。添付文書では、成人の痛みに対して1回300〜1,000mgを4〜6時間以上あけて、1日4,000mgまで使えるとされています(かぜの発熱・痛みでは1回300〜500mgを原則1日2回まで、1日1,500mgまで)。市販薬は1回300mg程度の製品が多く、処方薬より控えめな設定です
- 「2つを一緒に飲めば強い」——作用の仕組みが違うため併用されることはありますが、自己判断での重複は避けてください。市販の総合感冒薬にも解熱鎮痛薬が入っており、知らずに重複することがあります
- 「熱は下げないほうがいい」——熱そのものは免疫が働くサインですが、つらいときに使うのは問題ありません。下げることで体力を保てます
受診の目安
- 頭痛で解熱鎮痛薬を月に10日以上使っている(市販の配合鎮痛薬では月10日以上、カロナールやロキソニンのような単一成分の薬では月15日以上の使用が3か月を超えて続くと、薬物乱用頭痛の可能性があります)
- 鎮痛薬を飲んでも痛みが強い、原因がわからない痛みが続く
- ロキソニン服用後の胃痛・黒い便・むくみ・尿量減少
- 持病があり、どちらを使うべきか迷う
参考文献
- 各薬剤の添付文書(アセトアミノフェン・ロキソプロフェンナトリウム水和物)
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修「頭痛の診療ガイドライン2021」医学書院(薬剤の使用過多による頭痛〈薬物乱用頭痛〉)
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