地震のあと、まだ揺れてる気がする…それ、「地震酔い」かもしれません
大きな地震のあと、「なんだかずっと揺れているような気がする」「立っていてもフワフワする」といった感覚を覚えたことはありませんか?
当院でも、地震の後にこうした“揺れの後遺症”を訴えて受診される方が時々いらっしゃいます。今回はこの「地震のあと揺れ続けているように感じる感覚」について、医学的な視点から解説します。
それは「地震酔い」や「体性幻覚」と呼ばれる現象です
地震後に揺れていないのに揺れているように感じる感覚は、「地震酔い(motion aftereffect)」や「体性幻覚」と呼ばれます。これは脳や内耳(平衡感覚をつかさどる器官)が、実際の揺れを経験したあとに「余韻」として揺れを錯覚してしまう状態です。
代表的な症状:
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足元がフワフワする
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目を閉じると身体が揺れている気がする
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天井や壁が動いて見える気がする
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気分が悪くなる、吐き気がする
なぜこうした感覚が起きるのか?
地震の揺れによって、脳と身体は「揺れている状態」に適応しようとします。これは船に乗ったときの「船酔い」や「下船後の揺れ」に似た現象です。内耳の前庭器官(三半規管など)が揺れを感知し、それに対応して脳が「揺れに慣れる」ように調整します。
しかし地震が終わっても、その適応状態がすぐには解除されず、「まだ揺れている」と錯覚してしまうのです。
ストレスや自律神経も関係します
地震という非日常的なストレスは、自律神経系にも大きな影響を及ぼします。交感神経が過度に緊張すると、めまいやふらつき、吐き気、倦怠感などを引き起こしやすくなります。
また、心因性の「不安」や「恐怖」も、揺れていないのに揺れているように感じる錯覚を強める原因になります。
通常は数日~1週間ほどで自然に改善しますが…
ほとんどの場合、こうした「揺れの感覚」は時間とともに改善していきます。ただし、以下のようなケースでは、医療機関の受診をおすすめします。
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数日経ってもふらつきが改善しない
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吐き気や頭痛、強い倦怠感が続く
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日常生活に支障をきたしている
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地震の記憶がフラッシュバックしてしまう
場合によっては、めまいの薬や自律神経調整の漢方薬などを処方することで早期の改善が見込まれます。
まとめ:揺れてないのに揺れてる気がする、それは「正常な反応」です
「また揺れた?」と思っても、実際には自分の脳や身体が“揺れの記憶”を再生しているだけということもあります。これは病気というより、誰にでも起こりうる一時的な反応です。
ただし、つらさが長引く場合は我慢せず、ご相談ください。
ひろつ内科クリニックでは、こうした地震後のめまいや体調不良にも対応しています。不安な方はお気軽にご相談ください。
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