院長ブログ |

低用量ピルで血栓ができた時の症状と対処法 ~見逃さないために知っておきたいサイン~

低用量ピルで血栓ができた時の症状と対処法 ~見逃さないために知っておきたいサイン~

[2025.06.18]

はじめに

低用量ピル(経口避妊薬)は、避妊や月経トラブルの改善、PMSの緩和など多くのメリットがあります。一方で、まれではありますが「血栓症」という重い副作用が起こることがあります。

本記事では、低用量ピルで血栓ができた時に見られる症状や、どのように対処すべきかを、最新の医学的エビデンスをもとに解説します。


血栓とは?なぜピルで起こるの?

血栓とは、血管の中に「血のかたまり(血の塊)」ができて、血流が妨げられる状態です。

低用量ピルにはエストロゲンという女性ホルモンが含まれており、これが血液を固まりやすくする性質を持っているため、体質や年齢、生活習慣によってはリスクが高くなることがあります。


血栓症でよく見られる症状は?

以下のような症状があれば、血栓症を疑ってすぐに受診すべきです。

1. 足の痛みや腫れ、赤み(特に片脚)

→ 深部静脈血栓症(DVT)の典型症状。ふくらはぎや太ももに突然の痛みやむくみが出る場合は注意。

2. 胸の痛み、息苦しさ、呼吸が浅い

→ 肺血栓塞栓症(PE)の可能性。息を吸うと胸が痛む・階段を上るのが苦しいなどもサインです。

3. 視覚異常や激しい頭痛、言葉が出ない、片側の麻痺

→ 脳梗塞の可能性。特に「今までに経験したことのない」頭痛は要注意です。


血栓が疑われた時の対処法

すぐにピルの服用を中止

医師の指示を待つまでもなく、一度中止してください。

すぐに受診(可能なら救急外来)

上記の症状があれば、救急車を呼ぶことも躊躇しないでください。

診断と治療

血液検査(Dダイマー)やエコー検査・CTなどで血栓を確認します。

・治療は**抗凝固薬(血をサラサラにする薬)**が中心となります。


血栓症のリスクが高くなる人は?

  • 35歳以上で喫煙している
  • 肥満(BMI30以上)
  • 長時間の飛行機移動などで動かない状態
  • 血栓症の家族歴がある
  • 妊娠出産直後、手術後など

該当する方は、ピルの服用を開始する前に医師とよく相談しましょう。


まとめ

低用量ピルは非常に有用な薬ですが、ごくまれに血栓という重大な副作用が起こることがあります。

以下の3つは特に覚えておいてください。

  • 「足が腫れる」「胸が苦しい」「言葉が出ない」などの症状は要注意!
  • その時はすぐにピルを中止して受診を!
  • 血栓症リスクは事前に医師と確認を!

安全にピルを使うために、知識を持っておくことが大切です。


参考文献(エビデンス)

  1. WHO Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use, 5th ed., World Health Organization, 2015.
  2. Lidegaard Ø, et al. “Venous thrombosis in users of non-oral hormonal contraception: follow-up study, Denmark 2001–10.” BMJ 2012;344:e2990.
  3. 日本産科婦人科学会「OC・LEPガイドライン 2020年版」
  4. Heit JA. “Epidemiology of venous thromboembolism.” Nat Rev Cardiol. 2015 Aug;12(8):464-74.

 

ひろつ内科クリニック受診予約はこちらから

https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08874

ページ上部へ戻る