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【ぐるぐるめまい=末梢性めまい】その原因と治療法をわかりやすく解説します

[2025.05.30]

「ぐるぐる回る感じがする」「立っていられないほどのめまいが突然来た」
このような“回転性のめまい”を経験されたことはありませんか?
これは多くの場合、末梢性めまいと呼ばれるタイプのめまいです。今回はその原因・治療法・注意すべき症状について詳しく解説します。


◆ 末梢性めまいとは?

めまいには大きく分けて「中枢性」と「末梢性」があります。
末梢性めまいは、**耳の奥にある平衡感覚をつかさどる部分(内耳や前庭神経)**に異常が起こって発生するタイプのめまいです。


◆ よくある病気の種類と特徴

疾患名 特徴 持続時間 難聴・耳鳴り
良性発作性頭位めまい症(BPPV) 特定の頭の動きでめまい発作が誘発 数秒~1分程度 なし
メニエール病 めまいに加えて耳の閉塞感や難聴を伴う 数十分~数時間 あり(変動する)
前庭神経炎 風邪の後などに起こりやすく、激しいめまいが数日続く 数日~1週間程度 通常なし
外リンパ瘻・聴神経腫瘍 めまいと進行性の難聴 持続的 難聴あり、進行することも

◆ 疫学的には?

  • 良性発作性頭位めまい症(BPPV)は高齢女性に多く、再発しやすい傾向があります。

  • メニエール病は30~50代の働き盛りの人に好発し、ストレスや睡眠不足も関与します。

  • 前庭神経炎はウイルス感染が引き金になると考えられています。


◆ 病態と発症のメカニズム

末梢性めまいは、内耳の異常で「体が動いていないのに動いているように感じる」状態を引き起こします。

  • BPPVは耳石のずれが原因で、頭の位置が変わると耳の中のセンサーが誤作動を起こします。

  • メニエール病では内リンパ水腫という内耳の水ぶくれ状態が関係し、圧力変化が神経に影響を与えます。

  • 前庭神経炎は、ウイルス性の炎症によって平衡感覚を伝える神経の働きが急に低下します。


◆ 治療薬と対処法

薬剤名 主な作用 備考
メクリジン、ジフェニドール めまいを抑える 前庭抑制薬。BPPVやメニエール発作時に使用
イソソルビド、アセタゾラミド 内リンパ水腫の改善 メニエール病に用いられる
ステロイド、抗ウイルス薬 神経の炎症を抑える 前庭神経炎や聴神経炎に使用される場合も
漢方薬(苓桂朮甘湯など) めまいの体質改善 長期管理で使用されることあり

また、BPPVはエプリー法という簡単な体位法で治療できることが多く、外来でも対応可能です。


◆ 聴力の低下がある場合は要注意!

めまいだけでなく、耳が聞こえにくい・耳鳴りがあるという症状があるときは要注意です。
特に以下の場合には中枢疾患や突発性難聴の可能性も考慮し、早めの受診・精密検査が必要です。

  • めまいに加えて急に耳が聞こえにくくなった

  • 難聴が片側に限られて進行している

  • 数日以上、聴力の回復がない

  • 顔の筋肉が動かしにくい(顔面神経麻痺)

特に突発性難聴は48時間以内の治療開始が鍵になるため、時間との勝負です。


◆ まとめ

ぐるぐるめまいが起きたとき、たいていは末梢性ですが、耳の症状があるときには油断せず、内科または耳鼻科での早期対応が重要です。
「聞こえにくい」「耳が詰まった感じがする」そんな違和感があれば、すぐにご相談ください。


◆ 参考文献(Evidence)

  1. Furman JM, Cass SP. Benign paroxysmal positional vertigo. N Engl J Med. 1999;341(21):1590-1596.

  2. Sajjadi H, Paparella MM. Meniere’s disease. Lancet. 2008;372(9636):406-414.

  3. Strupp M, Brandt T. Vestibular neuritis. Semin Neurol. 2009;29(5):509–519.

  4. 日本めまい平衡医学会「めまい診療ガイドライン2023」

 

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