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蕁麻疹の最新研究(2025年) ― 内科医の立場から、いま分かっていることだけを整理します ―

蕁麻疹の最新研究(2025年) ― 内科医の立場から、いま分かっていることだけを整理します ―

[2025.12.25]

はじめに

蕁麻疹は、内科外来でも非常によく遭遇する症状のひとつです。

一方で、2025年は慢性蕁麻疹、とくに「慢性自発性蕁麻疹(CSU)」に関して、海外を中心に新しい治療薬の臨床試験結果が複数報告されました。

ただし、最初に明確にしておきます。

当院(ひろつ内科クリニック)は内科クリニックであり、

これらの最先端治療(生物学的製剤や新規分子標的薬)を実施する医療機関ではありません。

本記事は

・患者さんがネットやSNSで目にする「最新治療」の正体を整理する

・現実の内科診療で、どこまで対応できるのかを正確に伝える

ことを目的としています。

蕁麻疹の基本構造は2025年でも変わっていません

2025年になっても、蕁麻疹の基本的な病態理解は変わっていません。

蕁麻疹は

皮膚のマスト細胞が刺激され、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出される



血管透過性が亢進し、膨疹(みみず腫れ)や強いかゆみが出る

というメカニズムです。

そのため、日本のガイドラインでは現在も

・第二世代抗ヒスタミン薬を基本治療とする

という方針が維持されています。

2025年の論文で何が「新しく」分かったのか

ポイントは「難治性慢性蕁麻疹」に対する治療研究です

2025年の論文の多くは

抗ヒスタミン薬で十分にコントロールできない慢性蕁麻疹

を対象としています。

急性蕁麻疹や軽症例に対する話ではない点が重要です。

経口BTK阻害薬という新しい選択肢

2025年、海外の医学誌に

BTK阻害薬(Bruton型チロシンキナーゼ阻害薬)である

remibrutinib

の第3相試験結果が報告されました。

この薬は

・マスト細胞の活性化シグナルを内側から抑える

・注射ではなく内服薬

という特徴を持ちます。

慢性自発性蕁麻疹において

・膨疹

・そう痒

といった症状スコアが統計学的に改善した、という内容です。

ただし

・日本では未承認

・長期安全性の評価は継続中

・専門施設での使用が前提

であり、一般内科で使用する治療ではありません。

すでに使われている注射薬の位置づけも明確化

2025年は

dupilumab

に関する慢性蕁麻疹の報告も増えました。

日本では

・抗ヒスタミン薬で効果不十分な慢性蕁麻疹

に対して、すでに保険適応があります。

ただし

・皮膚科・アレルギー専門医での管理

・定期的な評価と注射継続判断

が必要であり、当院のような一般内科では導入対象外です。

マスト細胞そのものを減らす研究

さらに

barzolvolimab

のように、マスト細胞の生存に関わるKITを標的とする抗体薬の研究も進んでいます。

これは

「症状を抑える」ではなく

「マスト細胞の数や機能自体を抑制する」

という発想の治療です。

現時点では

・第2相試験段階

・主に研究・専門施設向け

であり、一般診療で使われる段階ではありません。

では、内科クリニックでは何をするのか

当院を含む内科クリニックで行う蕁麻疹診療は、以下が基本です。

・急性蕁麻疹か慢性蕁麻疹かの鑑別

・薬剤、感染症、基礎疾患など明らかな誘因の確認

・第二世代抗ヒスタミン薬による治療

・症状経過の評価

これで多くの蕁麻疹は十分にコントロール可能です。

一方で

・抗ヒスタミン薬を適切に使っても改善しない

・慢性化して日常生活に支障が出ている

といった場合には、皮膚科・アレルギー専門医への紹介が適切です。

「最新治療=すぐに受けるべき治療」ではありません

2025年の研究成果は

「難治性慢性蕁麻疹に対する選択肢が将来的に広がる可能性」

を示したものです。

しかし

・すべての蕁麻疹が対象ではない

・安全性評価は継続中

・専門的管理が必要

という点は、論文を読めば明確です。

当院では

内科として対応すべき範囲を超える治療は行いませんが、

患者さんが正しい情報を知ったうえで

適切な医療機関につながるお手伝いはできます。

まとめ

・2025年、慢性蕁麻疹の研究は大きく進展した

・対象は「抗ヒスタミン薬抵抗性の慢性蕁麻疹」

・内科クリニックの基本治療は従来通り

・難治例は専門医療機関での評価が必要

蕁麻疹でお困りの方は、

まずは現在の症状がどの段階なのかを整理することが大切です。


参考文献

・Metz M, et al. Remibrutinib in Chronic Spontaneous Urticaria. N Engl J Med. 2025

・Giménez-Arnau AM, et al. Dupilumab in chronic spontaneous urticaria. Dermatol Ther. 2025

・EAACI/GA²LEN/EuroGuiDerm/APAAACI international guideline for urticaria


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