筋収縮性頭痛(緊張型頭痛)を徹底解説 ― ストレスや自律神経との深い関係
はじめに
頭痛といえば「片頭痛」を思い浮かべる方が多いですが、実際に最も多いのは**筋収縮性頭痛(緊張型頭痛)**です。
「ストレス性頭痛」「自律神経の乱れによる頭痛」と表現されることもあります。
本記事では、筋収縮性頭痛のメカニズム、診断、治療、生活改善までをエビデンスに基づいて解説します。
1. 筋収縮性頭痛とは
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頭全体がギューッと締め付けられるような鈍い痛み
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30分〜数日持続することが多い
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吐き気や光過敏は片頭痛ほど強くない
国際頭痛分類(ICHD-3)では「緊張型頭痛(Tension-Type Headache, TTH)」と定義され、最も一般的な頭痛とされています。世界保健機関(WHO)によると、成人の約3人に1人が経験するとされます。
2. 原因とメカニズム ― ストレスと自律神経
筋収縮性頭痛の主な要因は以下の通りです。
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筋肉の緊張:長時間のデスクワーク、スマホ姿勢、肩こり
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精神的ストレス:交感神経優位になり、筋緊張が持続
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自律神経失調:睡眠不足、不規則生活により交感・副交感の切り替えが乱れる
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痛覚過敏:慢性化すると中枢性の痛み増幅(セントラルセンシタイゼーション)が関与
Lancet Neurology(2016)のレビューでは、ストレスと自律神経の乱れが筋収縮性頭痛の発症・増悪に深く関与することが報告されています。
3. 診断 ― 見極めのポイント
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締め付け感・圧迫感が両側性に出る
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身体活動で悪化しにくい
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吐き気や光過敏は軽度か欠如
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神経学的異常所見は通常みられない
※ただし「いつもと違う頭痛」「急に強い頭痛」「発熱・麻痺を伴う頭痛」は二次性頭痛(くも膜下出血・脳腫瘍など)を疑い、速やかな受診・画像検査が必要です。
4. 治療
薬物療法
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急性期:アセトアミノフェン、NSAIDs
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慢性例:抗うつ薬(アミトリプチリン)などが有効とされる(Cochrane Review, 2016)
非薬物療法
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ストレスマネジメント:認知行動療法(CBT)が有効性を示す研究あり
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運動療法:有酸素運動や頸部ストレッチで筋緊張を緩和(Cephalalgia, 2020)
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自律神経調整:規則正しい睡眠、生活リズムの安定
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リラクゼーション:ヨガ、マインドフルネス、呼吸法の介入効果も報告
5. 予防と生活習慣
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毎日の姿勢改善(ディスプレイは目線の高さに)
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定期的なストレッチ・運動
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睡眠の質を高める(就寝前のスマホ使用を減らす)
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ストレスコーピング法を身につける
まとめ
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筋収縮性頭痛(緊張型頭痛)は最も一般的な頭痛で、ストレス・姿勢・自律神経の乱れが関与する。
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診断には「片頭痛との違い」を見極めることが重要。
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治療は薬物だけでなく、生活習慣改善やストレスマネジメントが鍵となる。
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慢性化すると痛覚過敏が関与し難治化するため、早めの対策が推奨される。
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参考文献
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Bendtsen L, et al. "Tension-type headache." Lancet Neurol. 2016;15(9): 881–888.
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Moore RA, et al. "Amitriptyline for chronic tension-type headache in adults." Cochrane Database Syst Rev. 2016; (6):CD011798.
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Fernández-de-Las-Peñas C, et al. "Exercise therapy for tension-type headache: a systematic review." Cephalalgia. 2020;40(9): 954–969.
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