日本の年末年始の医療体制と備え(総説)
日本の年末年始の医療体制と備え(総説)
[2025.12.10]
年末年始に医療体制が変化する理由
日本では、12月29日頃から1月3日頃まで多くの医療機関が休診となり、外来機能が一時的に低下します。
そのため、患者の受診先が限られ、救急医療機関・当番医に負荷が集中する構造が毎年みられます。
厚生労働省および各自治体は、これを「特定期間の医療提供体制」として整理しており、休日期間中は
- 自治体が指定する休日当番医
- 救急告示病院(ER機能)
- 小児救急拠点病院
- 夜間急病センター
を中心に体制が組まれます。
どのような医療が受けられるか
日本では年末年始でも 救急診療は24時間維持されることが制度として保証されています。
ただし提供される医療の内容は平常時と異なります。
1. 休日・夜間診療所
自治体が指定し、一次救急(軽症〜中等症)を担当。
・発熱
・咽頭痛
・胃腸炎症状
・軽度の外傷
などの応急対応が可能です。
※多くの施設で高度検査(CT・高度採血パネルなど)は限定的です。
2. 二次救急(救急告示病院)
・肺炎
・脱水による点滴
・急性腹症の評価
・喘息発作
など、より集中的な診療を24時間提供。
3. 三次救急(高度救命救急センター)
重篤な疾患(心筋梗塞、脳卒中、重度外傷など)を担当。
年末年始に特に多い疾患と注意点
日本の感染症動向調査(IDWR)に基づくと、年末年始は例年、
・インフルエンザ
・感染性胃腸炎(ノロウイルス含む)
・溶連菌感染症
・RSウイルス(小児)
が増加しやすい傾向が報告されています。
加えて、
・暴飲暴食に伴う急性胃腸炎
・長距離移動・入浴時のヒートショック
・気温低下による心血管イベント
も増えるため、救急外来の受診理由が多様化します。
年末年始前に準備しておくべきこと(日本での推奨)
日本では自治体・厚労省ともに、以下の事前準備を推奨しています。
1. 常備薬・処方薬の確保
慢性疾患の薬(高血圧・糖尿病・喘息・甲状腺など)は、休診前に余裕を持って受診。
2. 解熱剤・胃腸薬・経口補水液の準備
休日診療所では処方薬が必要最小限となることがあり、家庭内常備が有用です。
3. 受診先の把握
自治体が提供する
・「休日当番医」
・「救急医療情報センター(#7119)」
などを確認。
※小児の場合は地域によって「小児救急電話相談(#8000)」が利用可能。
4. 感染対策
年末年始は人流が増加するため、日本では以下の予防策が推奨されています。
・インフルエンザワクチンの接種
・手洗い、換気
・ノロウイルス対策としての十分な加熱調理
・体調不良時の早めの受診判断
年末年始中に受診すべきか迷った場合のポイント
日本のガイドラインでは、次のような場合は速やかな医療機関受診が推奨されています。
大人
・38.5℃以上の発熱が持続
・呼吸苦
・意識障害
・強い脱水
・胸痛
・脳卒中が疑われる症状(突然の麻痺・呂律障害)
子ども
・ぐったりして反応が悪い
・水分摂取ができない
・呼吸が早い/ゼーゼー
・けいれん
・生後3か月未満の発熱
など、重症化しやすいため受診基準が厳格。
コロナ(COVID-19)との鑑別と動向
年末年始はコロナの流行波が重なることもあり、日本では自治体が「発熱患者の受入医療機関」を事前に提示する体制をとっています。
発熱外来が限られるため、
・抗原検査キットの家庭常備
・症状経過の記録
も推奨されています。
まとめ
日本では年末年始も救急医療は維持されますが、外来診療の通常機能は大幅に縮小します。
地域の「当番医」「救急病院」の把握、慢性病薬の確保、感染症予防が極めて重要です。
特にインフルエンザ・胃腸炎・心血管イベントは例年増加し、救急負荷が高くなるため、適切なセルフケアと受診判断が求められます。
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【参考文献】
- 厚生労働省「医療提供体制(休日・夜間体制)」
- 各都道府県 休日急患センター/当番医情報
- 国立感染症研究所 感染症発生動向調査(IDWR)
- 日本救急医学会 成人・小児救急の受診目安ガイドライン
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