妊活中・妊娠中の抗ヘルペスウイルス薬使用の是非 ― アシクロビル/バラシクロビルは使ってよいのか ―
妊活中あるいは妊娠中に、
抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)を使用してよいのかどうかは、
医療者側が正確な安全性データを把握したうえで判断すべきテーマです。
特に、
-
妊活中に偶発的に内服した場合
-
妊娠判明前後に単純ヘルペスが再発した場合
-
妊娠後期の性器ヘルペス管理
といった 判断を要する場面は実臨床で確実に存在 します。
本稿では、日本の添付文書およびヒトでの疫学データをもとに、
妊活中・妊娠中における抗ヘルペスウイルス薬使用の是非を整理します。
使用される主な抗ヘルペスウイルス薬
-
アシクロビル
-
バラシクロビル
(体内でアシクロビルに変換されるプロドラッグ)
いずれも
単純ヘルペスウイルス(HSV-1 / HSV-2)、
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に対して用いられます。
妊活中(妊娠を計画している時期)
結論
原則として使用可
根拠
-
ヒトにおける観察研究で
催奇形性の増加は認められていない -
妊娠初期曝露例を含む大規模レジストリでも
先天異常率は一般集団と同程度 -
半減期が短く、体内残留性が低い
したがって、
再発性単純ヘルペスなど 医学的に投与適応がある場合、
妊活中であること自体を理由に投与を避ける必要はありません。
妊娠中の使用
結論
必要性があれば使用可(利益がリスクを上回る場合)
妊娠初期(〜12週)
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器官形成期であり、不要な薬剤は避けるのが原則
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ただし
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初感染
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症状が強い再発
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全身症状を伴う場合
では、治療を行う医学的合理性がある
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妊娠中期・後期
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使用制限は相対的に緩和
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妊娠後期(36週以降)には
性器ヘルペス再発抑制目的での予防投与が行われることがある
→ 分娩時の新生児ヘルペス感染予防
胎児・妊娠への影響
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胎盤通過性:あり
-
しかし
胎児毒性や奇形リスク上昇を示す疫学的証拠はない -
新生児転帰についても
有意な悪影響は報告されていない
一方で、
-
母体の重症ヘルペス感染
-
分娩時の活動性性器ヘルペス
は、新生児にとって重大なリスクとなるため、
治療しないことのリスクが問題となる場面が存在します。
授乳中の使用
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母乳中へは少量移行
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通常量内服であれば
乳児への臨床的影響は極めて低い -
原則として 授乳継続は可能
まとめ(臨床的整理)
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妊活中:原則使用可
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妊娠中:必要性があれば使用可
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ヒトデータ:催奇形性上昇は認められていない
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判断の本質:
薬のリスクと、治療しないことのリスクの比較
実臨床でのポイント
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「妊娠中は一切使えない薬」ではない
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妊娠週数、感染部位、症状の重症度を踏まえて判断
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不安が強い場合は
最小有効量・最短期間での使用と十分な説明が重要
参考文献(エビデンス)
-
Acyclovir Pregnancy Registry
-
Pasternak B, et al. JAMA. 2010
-
日本産科婦人科学会 各種診療指針
-
各製剤 添付文書
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