声がかすれにくい吸入薬はどれ? 〜嗄声(させい)を防ぐための正しい選び方〜
吸入薬で喘息を治療していると、「声がかすれる」「のどがヒリヒリする」と感じる人がいます。
これは**ステロイド成分(ICS:吸入ステロイド)**がのどに付着して起きる副作用の一つです。
ただし、すべての薬で同じように起こるわけではありません。
1. 声がかすれにくい吸入薬の傾向
日本で使われている代表的な「ICS/LABA(吸入ステロイド+気管支拡張薬)」の中で、
臨床試験で嗄声(声のかすれ)の報告が少なめだったのは次の薬です。
| 薬の名前 | 成分 | 吸入タイプ | 嗄声の報告頻度(目安) |
|---|---|---|---|
| アテキュラ ブリーズヘラー | モメタゾン+インダカテロール | DPI(粉タイプ) | 約0.8〜1% |
| シムビコート タービュヘイラー | ブデソニド+ホルモテロール | DPI | 約0.3% |
| フルティフォーム エアゾール | フルチカゾン+ホルモテロール | pMDI(スプレータイプ) | 約2% |
一方で、
**アドエア(フルチカゾン+サルメテロール)**では約3%、
**レルベア(フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロール)**では日本人の試験で約6〜7%と、やや高めの報告があります。
ただし、これらの数字は試験条件や対象が違うため、単純比較はできません。
あくまで「傾向」として参考にしましょう。
2. 声がかすれる理由
吸入ステロイドの一部がのどに付着し、
-
声帯の筋肉に軽い炎症を起こす
-
口やのどにカビ(カンジダ)が生える
といったことが原因です。
これを防ぐには、薬の使い方と手入れがとても大切です。
3. 声のかすれを防ぐ3つのコツ
-
吸入後にしっかりうがいをする
→ これだけでのどへの残り薬が減ります。 -
スプレータイプ(pMDI)はスペーサーを使う
→ 粒子がのどに当たりにくくなります。 -
吸入量を最小限に調整する
→ 医師と相談し、効果を保ちながら副作用を減らす工夫をします。
4. どの薬を選べばいい?
嗄声を起こしやすい人や声を使う仕事の人(教師・歌手など)は、
アテキュラやシムビコートなど、嗄声報告の少ない薬を検討するのが一案です。
ただし、吸入器のタイプ(粉 or スプレー)や使いやすさ、吸う力の強さなども人によって違うため、
最終的には**「自分に合う吸入器を正しく使えるか」**が最も大切です。
まとめ
-
吸入ステロイド薬で嗄声は珍しくないが、多くはうがい+正しい手技で防げる。
-
アテキュラやシムビコートは嗄声が比較的少ない報告。
-
レルベアやアドエアも効果は高いが、声のかすれが気になる場合は注意。
-
声の変化が続く場合は、自己判断せず医師に相談を。
参考文献(エビデンス)
-
Mayo Clinic Proc. 2012. “Dysphonia Caused by Inhaled Corticosteroids.”
-
npj Primary Care Respiratory Medicine 2019:スペーサーと含嗽による副作用減少。
-
各薬剤インタビューフォーム(PMDA, KEGG)
- シムビコート:嗄声0.3%
- アドエア:嗄声3%
- レルベア:嗄声6.8%(日本人)
- フルティフォーム:嗄声2.2%
- アテキュラ:嗄声0.8〜1.1%
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