吐き気止めはどれが安全? プリンペラン・ナウゼリン・その他の薬の違いをわかりやすく解説します
吐き気や胸のムカムカがあるとき、病院でよく処方されるのが「制吐剤(せいとざい)」です。
特に多いのが
・プリンペラン(メトクロプラミド)
・ナウゼリン(ドンペリドン)
の2つですが、「どっちが安全?」「妊娠中は使えるの?」という質問をよくいただきます。
今日は、医師として事実だけを整理し、わかりやすく解説します。
1. 代表的な吐き気止めとその特徴
制吐剤はいくつか種類がありますが、日常診療でよく使うのは次の4つです。
プリンペラン(メトクロプラミド)
・胃の動きを助けて、吐き気をおさえる薬
・風邪の胃腸症状・つわり・食あたりなど幅広く使われる
・妊娠中・授乳中でも「必要時に慎重に使える」薬
ナウゼリン(ドンペリドン)
・胃の動きを助ける薬
・吐き気より「胃が重くて動きにくい」タイプに向いている
・海外では心電図(QT延長)の影響から、妊娠・授乳では注意が必要とされています
ガナトン(イトプリド)
・いわゆる「胃の動き改善薬」
・胃もたれ中心の症状に使う
・妊娠中・授乳中は安全性データが十分でない
オンダンセトロン(5-HT3拮抗薬)
・化学療法の吐き気でよく使われる強めの制吐薬
・海外では妊娠悪阻(つわり)にも使われるが、日本では「安全性未確立」の位置づけ
2. 妊娠中に使えるのは?
日本では、妊娠中に使える吐き気止めとして実績があるのは
プリンペラン(メトクロプラミド)
です。
大規模研究でも先天異常の増加は認められていません。
一方で、
・ナウゼリン → 妊婦への積極使用は推奨されない
・オンダンセトロン → 日本では安全性未確立(海外では使われる)
・ガナトン/レグナイト → 妊婦データが不足
となっています。
3. 授乳中はどれが使えるの?
授乳中は、赤ちゃんに薬が移行するかどうかがポイントです。
・プリンペラン
→ 母乳への移行は少量。短期間であれば使用可能。
・ナウゼリン
→ 母乳への移行量は少ないが、心電図への影響があり、授乳では推奨されない。
・その他の薬
→ 国内では安全性データが不十分。
授乳中でも、最も実績があるのはプリンペランです。
4. では、どっちを使えばいい?
整理すると、次のようになります。
・妊娠中・授乳中も含めて幅広く使いやすい → プリンペラン
・胃の動きが悪いタイプの吐き気に向いている → ナウゼリン(ただし妊娠・授乳は避ける)
・胃もたれ中心 → ガナトン、レグナイト(妊娠・授乳では避ける)
・つわりが重い場合 → プリンペランを中心に、必要に応じて医師が調整
吐き気の原因はさまざまで、同じ薬でも効き方に差があります。
妊娠中・授乳中は特に、安全性に基づいて慎重に選びます。
5. まとめ
・吐き気止めは種類によって作用と安全性が違う
・妊娠中・授乳中で最も安全性と実績があるのは プリンペラン
・ナウゼリンは胃の動きを改善する良い薬だが、妊婦・授乳中は避ける
・胃もたれ中心、ストレス性の胃不調などでは別の薬を使うこともある
症状によって最適な薬は変わるため、迷ったときはぜひ相談してください。
参考文献(エビデンス)
-
日本産婦人科医会「妊娠悪阻に関する提言」
-
各製剤添付文書(メトクロプラミド、ドンペリドン、イトプリド、アコチアミド)
-
ACOG Practice Bulletin: Nausea and Vomiting of Pregnancy
-
EMA安全性レビュー(Domperidone – QT延長)
-
LactMed(授乳中の薬物情報データベース)
-
Matok et al. Metoclopramide in pregnancy: meta-analysis(催奇形性なし)
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