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偽痛風とは?本当の痛風とどう違うのか

偽痛風とは?本当の痛風とどう違うのか

[2025.11.03]

関節が急に腫れて痛む病気といえば「痛風」が有名ですが、実は似た症状を起こす「偽痛風(ぎつうふう)」という病気があります。

正式には「ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(Calcium Pyrophosphate Deposition Disease, CPPD)」と呼ばれます。

症状:急に膝や手首が腫れて痛い

典型的には膝関節や手首などが突然赤く腫れて激しい痛みを起こします。

発作的に数日〜1週間ほど続きますが、しばしば自然に軽快することもあります。

痛風と違って、足の親指ではなく膝や手首に起きやすいのが特徴です。

原因:尿酸ではなく「ピロリン酸カルシウム」

痛風は尿酸が関節に沈着して炎症を起こす病気ですが、偽痛風ではピロリン酸カルシウム結晶(CPP結晶)が原因です。

この結晶が関節液や軟骨に沈着し、炎症を引き起こします。

高齢になるほど発症しやすく、特に60歳以上の方でよく見られます

関連する病気

偽痛風は単独でも起こりますが、以下の病気を持つ方に多いことが知られています。

  • 甲状腺機能低下症
  • 副甲状腺機能亢進症
  • ヘモクロマトーシス(鉄代謝異常)
  • 慢性腎不全
  • 関節への外傷や手術後

これらの基礎疾患がある場合、偽痛風のリスクが高まります。

診断:レントゲンと関節液検査が決め手

レントゲンで関節軟骨内に白い石灰化が見られることが多く、これを軟骨石灰化症(chondrocalcinosis)と呼びます。

確定診断は、関節液を採取して顕微鏡でピロリン酸カルシウム結晶を確認
することで行われます。

結晶は偏光顕微鏡で弱陽性複屈折性を示すのが特徴です(尿酸結晶とは逆)。

治療:炎症を抑えることが中心

偽痛風の治療は「原因除去」ではなく、「炎症を抑えること」が主になります。

  1. NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)

     例:ロキソプロフェン、ナプロキセンなど。急性期の痛みに有効。
  2. 関節内ステロイド注射

     発作が局所的な場合に即効性があります。
  3. コルヒチン

     痛風と同じく、再発予防や発作短縮に用いられることがあります。
  4. 副腎皮質ステロイドの内服

     NSAIDsが使えない場合に短期間使用します。

再発を防ぐためにできること

現時点でピロリン酸カルシウム結晶を溶かす薬は存在しません

そのため、再発を防ぐには次のような対策が勧められています。

  • 関節に負担をかけない(肥満を避ける、過度な運動を控える)
  • 脱水を防ぐ(十分な水分摂取)
  • 関節の冷えを避ける
  • 基礎疾患(甲状腺・副甲状腺・腎疾患など)のコントロール

また、再発を繰り返す場合には、定期的な内科または整形外科でのフォローが重要です。

痛風との見分け方

特徴

痛風

偽痛風

原因物質

尿酸

ピロリン酸カルシウム

好発部位

足の親指

膝・手首

性別

男性に多い

男女差少ない

年齢

40〜50代中心

60歳以上に多い

発作間隔

数ヶ月〜年単位

不定期・繰り返すことあり

まとめ

偽痛風は「痛風に似て非なる病気」であり、正確な診断には関節液検査が必要です。

高齢者の突然の膝関節痛では、痛風よりもむしろ偽痛風のほうが多い場合もあります。

適切な抗炎症治療と、基礎疾患の管理が再発予防の鍵です。


参考文献(エビデンス)

  1. Zhang W et al. EULAR recommendations for calcium pyrophosphate deposition. Part I: terminology and diagnosis. Ann Rheum Dis. 2011;70(4):563–570.
  2. Zhang W et al. EULAR recommendations for calcium pyrophosphate deposition. Part II: management. Ann Rheum Dis. 2011;70(4):571–575.
  3. Rosenthal AK, Ryan LM. Calcium pyrophosphate deposition disease. N Engl J Med. 2016;374:2575–2584.
  4. 日本リウマチ学会編『関節リウマチ診療ガイドライン2020』

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