ダイエットで「インスリン(IRI)」を測る意味とは ──体重やHbA1cだけでは分からない“痩せにくさ”の正体
ダイエット外来や健診相談で、
「食事量は減らしているのに体重が落ちない」
という声をよく耳にします。
こうしたケースでは、血糖値やHbA1cだけでは評価できない代謝の偏りが背景にあることがあります。
その評価に役立つ指標の一つが、 空腹時インスリン(IRI) です。
インスリン(IRI)とは何か
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、主に以下の作用を担います。
-
血糖を下げる
-
糖を脂肪として蓄える
-
脂肪分解を抑制する
このため、インスリンが多く分泌される状態が続くと、脂肪が蓄積しやすい代謝環境になります。
重要なのは、
血糖値が正常でもインスリンが過剰に分泌されているケースがある
という点です。
HbA1cが正常でも「痩せにくい」理由
HbA1cや空腹時血糖は、
「血糖がどの程度高いか」を評価する指標です。
一方で、
-
インスリンがどれくらい出ているか
-
体がインスリンにどれくらい反応しているか
といった情報は、血糖値だけでは分かりません。
その結果、
-
HbA1c:正常
-
血糖値:正常
-
しかしインスリン分泌量は多い
という状態が見逃されることがあります。
このような状態では、
脂肪が分解されにくく、体重が落ちにくいことが知られています。
ダイエットにおいてIRIが有用な理由
1. 「太りやすさ」を数値で説明できる
IRIを測定することで、
「食事や運動の問題」だけでは説明できない体質的要因を、
数値として説明できるようになります。
これは、ダイエット方針を考えるうえで重要な情報になります。
2. HOMA-IRによるインスリン抵抗性評価が可能
IRIと空腹時血糖を用いることで、
HOMA-IR(インスリン抵抗性指数)を算出できます。
HOMA-IRは、
体がインスリンにどれだけ効きにくくなっているかを評価する指標で、
ダイエットや代謝改善の目安として用いられることがあります。
3. 治療・生活指導の方向性を整理できる
IRIが高い場合、
-
食事内容(特に糖質の質やタイミング)
-
食後インスリン分泌を意識した生活指導
-
医学的管理が必要かどうかの判断
などを、根拠をもって検討する材料になります。
単に「カロリーを減らす」だけでは不十分なケースを見極める点で、
IRIは補助的な情報として有用です。
すべての人にIRI測定が必要なわけではない
IRI測定は、以下のような方で参考になることがあります。
-
食事制限をしても体重が減りにくい
-
リバウンドを繰り返している
-
内臓脂肪型肥満が疑われる
-
医学的にダイエット評価を行いたい場合
一方で、
全員に必須の検査ではありません。
生活習慣の見直しが優先されるケースも多くあります。
まとめ
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ダイエットでは「体重」や「HbA1c」だけでは分からない代謝の偏りが存在する
-
空腹時インスリン(IRI)は、その評価に役立つ指標の一つ
-
IRIは「痩せにくさ」を医学的に説明する補助データとして活用される
-
適応を見極めたうえで測定することが重要
当院では、必要に応じて医学的視点からダイエット評価を行っています。
参考文献(エビデンス)
-
Reaven GM. Role of insulin resistance in human disease. Diabetes. 1988.
-
Matthews DR, et al. Homeostasis model assessment. Diabetologia. 1985.
-
日本糖尿病学会 編. 糖尿病診療ガイドライン 最新版
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