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インフル2025シリーズ #3 妊娠中・授乳中のインフルエンザ対策 安全性データと日本の推奨に基づく最新まとめ

インフル2025シリーズ #3 妊娠中・授乳中のインフルエンザ対策 安全性データと日本の推奨に基づく最新まとめ

[2025.11.14]

はじめに

妊娠中や授乳中は、インフルエンザに感染した時の体への負担が大きくなることが知られています。

日本では、妊娠・授乳中でも治療とワクチン接種が推奨される場面があります。

本記事では、最新の日本の指針と安全性データを踏まえ、2025年における「妊娠中・授乳中のインフルエンザ対策」を整理します。


1. 妊娠中のインフルエンザはなぜ注意が必要か

妊娠中は免疫や循環・呼吸機能の変化があり、インフルエンザにかかった場合に重症化するリスクが高いとされています。

重症化リスクが高い理由(日本の指針より):

  • 肺炎などの合併症が起こりやすい
  • 高熱により脱水が進みやすい
  • 呼吸機能の低下により症状が重くなりやすい

このため、妊娠中は発症後できるだけ早く医療機関を受診することが推奨されています。


2. 妊娠中の抗インフルエンザ薬の使用

日本のガイドラインでは、妊婦さんでも抗インフルエンザ薬が必要に応じて使用されることが明確に示されています。

代表的な薬剤の扱いは次のとおりです。

2−1. オセルタミビル(タミフル)

  • 妊娠中でも使用されることがある薬です。
  • 海外・国内で安全性データが比較的多い薬剤で、日本でも広く使用されています。

2−2. ザナミビル(リレンザ)

  • 妊娠中でも使用されることがある吸入薬です。
  • 全身吸収が少ないことから、選択される場面があります。

2−3. ラニナミビル(イナビル)

  • 妊婦への使用経験は多くありませんが、日本では必要な場合に使用されることがあります

2−4. バロキサビル(ゾフルーザ)

  • 妊娠中は、添付文書で慎重投与の扱いです。
  • 医師が必要と判断した場合に使用されることがあります。

2−5. ペラミビル(点滴)

  • 経口や吸入が難しい状況で、妊娠中に使用されることがあります

ポイント:

いずれの薬剤も「妊娠中に絶対禁忌」という扱いではありません。

重症化リスクを考慮し、治療が積極的に検討されることがあります。


3. 授乳中のインフルエンザ治療

3−1. 抗インフルエンザ薬と授乳

日本の指針では、授乳中でも以下の薬が使用されることがあります。

  • オセルタミビル
  • ザナミビル
  • ラニナミビル
  • バロキサビル
  • ペラミビル

母乳への移行はごくわずかで、治療が必要な場合は、授乳を中止せず使用されることがあります。

3−2. 授乳を続けてよいのか

日本の推奨では、

「抗インフルエンザ薬を使っても授乳は継続してよい」

とされています。

治療が遅れることの方が母体の負担が大きいため、必要な場合には治療が優先されます。


4. 妊娠中・授乳中のインフルエンザワクチン

4−1. 妊娠中のワクチン接種

日本では、妊娠中のインフルエンザワクチン接種は推奨されています。

特に妊娠後期の重症化リスクが高いとされ、妊娠週数に関わらず接種が検討されます。

三価不活化ワクチンは、妊婦さんに使用されることが多いワクチンで、胎児への影響は報告されていません。

4−2. 授乳中のワクチン接種

授乳中のインフルエンザワクチン接種は安全とされており、授乳を中止する必要はありません。

4−3. 赤ちゃんへのメリット

母体がワクチンを接種することで、

  • 母体の感染リスク低下
  • 母体の抗体が胎児・乳児へ移行しやすい

    などの報告があり、赤ちゃんにとっても間接的なメリットがあります。

(効果の保証ではなく、エビデンスとして示されている事実のみ記載)


5. 受診の目安

妊娠中・授乳中の方で、以下の症状がある場合は早めに受診が推奨されています。

  • 38℃以上の発熱
  • 強い倦怠感
  • 呼吸が苦しい
  • お腹の張りが増える
  • 脱水症状が疑われる
  • 胎動の変化が気になる

特に妊娠後期は重症化しやすいため、早めの診察が重要です。


6. まとめ

2025年のインフルエンザ流行は早く、妊娠中・授乳中の感染対策は非常に重要です。

本記事のポイントは以下の4つです。

  1. 妊娠中はインフルエンザで重症化しやすいため、早期受診が推奨される
  2. 抗インフルエンザ薬は妊娠中でも使用されることがある
  3. 授乳中は治療薬を使っても授乳を継続できる
  4. 妊娠中・授乳中のワクチン接種は日本で推奨されている

 

 

当院では妊娠中・授乳中の方にもガイドラインに沿った診療を行っています。

次回(#4)は、**「インフルエンザの出勤停止・登校停止・感染期間の正しい考え方」**を解説します。


参考文献(エビデンス)

  • 日本産科婦人科学会 妊娠中のインフルエンザ対策
  • 日本感染症学会 インフルエンザ診療指針
  • 厚生労働省 インフルエンザQ&A
  • 国立健康危機管理研究機構(旧NIID)感染症週報
  • CDC Pregnancy and Influenza
  • WHO Seasonal Influenza Guidance

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