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【私の原点】ラーメン住吉亭──獣の香りに包まれて、27年通い続ける一杯

[2025.06.07]

27年前、私は福岡に移り住んだ。 それまで何度となく“とんこつラーメン”と呼ばれるものを口にしてきたが、 福岡で出会ったのは、“本場のとんこつ”という名の別次元の食べ物だった。 ──その衝撃を与えてくれたのが、ラーメン住吉亭だった。


獣の香りと、シャバ系スープの魔力

まず、店の前に立った時点で香るのは、強烈な獣臭。 これは豚骨が骨の髄まで煮込まれた証。 好みは分かれるかもしれないが、私にとっては帰ってきた感覚すらある。

そして丼が出され、スープを一口。 住吉亭のスープは、シャバシャバ系。 乳化はほとんどしておらず、さらりとしていながら芯にグッとくる骨の旨味がある。 これぞ、福岡・博多のクラシックとんこつの真髄。 飲みやすいのに、軽くない。攻めてくるのに、飽きない。


ネギのインパクトは“量”だけじゃない

住吉亭のネギはただ多いだけではない。 白ネギを大胆に、荒くカットしたものが盛られている。 青ネギの繊細さとは真逆の、豪快かつ野性味のある風味とシャキシャキ感

しかも、有料追加ネギは別丼で“山”のように盛られてくる。 丼に投入すると、もはやネギ料理にラーメンが添えられている状態。 「ネギ多め」は不可。真のネギ好きだけが辿り着ける境地、それがネギ追加。


にんにくクラッシュの儀式──私の開戦合図

住吉亭のにんにくは刻みではない丸ごとが3玉、有料100円で提供され、専用クラッシャーで“へずる”スタイル。 この“へずり”が、ラーメンとの真剣勝負の始まりを告げる。

私は初手で1玉、必ず投入。 シャバ系スープが一気にパンチを帯び、口内が戦場と化す。 さらにもう1玉は後半に、3玉目は替玉後の味変用。 にんにくを段階的に使い分けることで、最後まで戦える設計。


高菜は“最初の白ごはん”で立ち上がる

そして、忘れてはならないのが卓上の辛子高菜。 これはただの無料トッピングではない。 発酵のコク・辛味・油の香りが絶妙に調和した逸品

私の流儀はこうだ。

高菜は、まず“ごはん”に乗せて食べる。

この一膳が、住吉亭のプロローグ。 その後、ラーメンを食べ進め──そして替玉後に、スープへ高菜を投入。 ここでスープがピリ辛とんこつに劇的変化し、ラストスパートのギアが入る。

これが、“住吉亭完全体”の作法である。


店内はストイックな“黙食道場”

住吉亭にBGMはいらない。 必要なのは、湯切りの音、箸の音、スープをすする静かな闘志。

店内はカウンターとテーブル合わせて16席。 誰もが黙って、淡々とラーメンと向き合っている。 "この空気もまた“味の一部"であり、私にとっては禅に近い時間でもある。


店舗情報(2025年6月時点)

項目 内容
店名 ラーメン住吉亭
住所 福岡市博多区博多駅南5丁目5-1
電話 092-411-6868
営業時間 11:00〜17:00(L.O.16:50)
定休日 日曜
駐車場 あり(2台)
支払い 現金のみ(カード・電子マネー不可)
席数 16席(カウンター12/テーブル4)
スープ 非乳化・シャバ系とんこつスープ
ネギ 白ネギ荒切り、ネギ追加(100円)は別皿山盛り
にんにく 有料(100円)、クラッシャーで自分で潰す形式、3玉付き
高菜 無料卓上トッピング。ごはん・ラーメンどちらも最強コンビ

【院長からひとこと】

住吉亭は、私の博多生活の起点であり、帰る場所でもあります。 27年間、何十杯、いや百を超えて食べてきたはずなのに、飽きるどころか恋しくなる。

本場のとんこつの底力を感じたい人、食べ物で本能を揺さぶられたい人へ。 ぜひ一度、**この“凶暴にして優しい一杯”**を味わってみてください。

あなたも、次に住吉亭の暖簾をくぐるのは、今日かもしれません。

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