「マイナートランキライザーは本当に悪者?オレキシン受容体拮抗薬の時代に考える、不眠と不安への向き合い方」
「マイナートランキライザーは本当に悪者?オレキシン受容体拮抗薬の時代に考える、不眠と不安への向き合い方」
[2025.06.28]
「不眠に効くお薬って、最近は“依存の心配がない新しい薬”があるって聞きました。昔の薬はもう使わない方がいいんですよね?」
こうしたご質問を受けることが、最近増えてきました。
たしかに、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラやデエビゴなど)は、依存性が少ないとされ、「自然な眠りに近い」と評価されている新しいタイプの睡眠薬です。これらは、脳の「覚醒維持」に関わるオレキシンという物質の働きを抑えることで、眠気を促します。
しかし、「新しい=万能」「古い=悪い」というわけではありません。
■ マイナートランキライザーって悪い薬なの?
いわゆる「マイナートランキライザー」は、ベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬で、古くから不安や不眠、めまいなどさまざまな症状に使われてきました。デパス(エチゾラム)やソラナックス(アルプラゾラム)、リーゼ(クロチアゼパム)などが有名ですね。
たしかに、長期間・漫然と使い続けると、**耐性(効きが悪くなる)や依存(やめにくくなる)**といった問題が起こりやすいのは事実です。
でも、「短期間・適切に使えば」非常に有効なお薬でもあります。たとえば――
- ストレスによる不安感や動悸
- 自律神経の乱れによるめまいや吐き気
- 急な緊張やパニック発作
こうしたケースでは、即効性があり、少量でも十分に症状を和らげてくれることがあります。
■ 当院のスタンス:不眠相談には応じますが、治療は専門科へ
ひろつ内科クリニックでは、「眠れない」「不安が強い」といったご相談にももちろん対応しています。
ただし、不眠そのものが長引いている場合や、うつ・不安障害が背景にあると考えられるケースでは、専門的な診断と治療が必要です。
そのため、当院では精神科・心療内科へのご紹介を前提とした対応を基本としています。
一方で、
- 一時的な不眠
- 自律神経の乱れによる不安感やめまい
- 緊張や環境の変化による一過性の不調
このようなケースでは、必要最小限の範囲でマイナートランキライザーの処方を行うこともあります。依存を避けるために、処方の量・期間には細心の注意を払っています。
■ 結局、薬は「使い方」次第
新しい薬にも、古い薬にも、それぞれのメリット・デメリットがあります。
大切なのは、「今のあなたの症状に、どの薬が一番合っているか」という視点です。
マイナートランキライザーは、決して「悪い薬」ではありません。
正しく使えば、あなたの毎日を少し楽にしてくれる、大切な選択肢のひとつです。
■ まとめ
- オレキシン受容体拮抗薬は、不眠に対する新しい選択肢
- しかし、すべての不調に万能というわけではない
- マイナートランキライザーも、正しく使えば今でも有用
- ひろつ内科では、不安や自律神経の不調に対して柔軟に対応しつつ、精神科との連携も重視しています
【参考文献】
- 日本睡眠学会『睡眠薬の使い方ガイドライン(第3版)』
- 日本うつ病学会『不安障害診療ガイドライン2021』
- Sakurai T. The role of orexin in motivated behaviours. Nat Rev Neurosci. 2014.
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