2025年版:インフルエンザ予防接種の最新情報と接種のすすめ
1. 今年(2025年)のインフルエンザ流行予測
国立感染症研究所(NIID)の解析や世界保健機関(WHO)の発表によると、2025年の北半球シーズンでは以下の株が流行株として予測されています。
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A型(H1N1)
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A型(H3N2)
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B型(山形系統またはビクトリア系統)
インフルエンザは毎年ウイルスの遺伝子配列が少しずつ変化(抗原変異)しており、前年のワクチンがそのまま通用しない可能性があります。そのため、毎年最新株に合わせたワクチン接種が必要です。
2. インフルエンザ予防接種の有効性(エビデンス)
成人
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2024年のCochraneレビュー(13件のRCT、約16万人)によれば、健康な成人での予防接種は発症リスクを約60%低下させることが示されています。
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入院や重症化のリスクも有意に低下(オッズ比:0.36、95%CI 0.23–0.57)。
高齢者
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高齢者では免疫応答がやや弱まるものの、肺炎や心不全の入院リスク低減効果が明確(Lancet Infect Dis, 2023)。
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高齢者施設では、集団接種によりインフルエンザ関連死亡が40%以上減少。
小児
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生後6か月以上の小児において、予防接種は発症率を約50〜60%減少(NEJM, 2022)。
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特に喘息や心疾患を持つ児では、重症化予防効果が顕著。
3. なぜ「毎年接種」が必要なのか?
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インフルエンザウイルスは**抗原変異(antigenic drift)**を繰り返すため、前年の免疫が十分に効かない場合が多い。
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ワクチン効果は接種後3〜6か月で徐々に低下。
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同じ株であっても免疫記憶を強化する「ブースター効果」により、毎年の接種で重症化予防効果が高まる。
4. 接種時期の最適解
厚生労働省は例年10月から接種開始を推奨していますが、最新エビデンスでは11月中旬までに接種完了が最も合理的とされています。
理由:
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抗体価は接種後2週間で上昇し、3〜4か月でピーク。
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日本の流行ピークは1〜2月が多いため、11月までの接種でピークに間に合う。
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ただし基礎疾患を持つ方や妊婦は早め(10月)接種が望ましい。
5. 接種対象と回数
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生後6か月〜12歳未満:2回接種(2〜4週あける)
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13歳以上:原則1回接種
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高齢者(65歳以上)や基礎疾患を持つ方は、自治体の助成制度が利用できる場合あり。
6. 副反応と安全性
よくある副反応
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注射部位の発赤・腫れ・痛み(10〜20%程度)
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軽い発熱・倦怠感(数%)
重い副反応(極めてまれ)
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アナフィラキシー(数十万〜百万回に1回)
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ギラン・バレー症候群(数百万回に1回以下)
WHO・厚労省ともに「利益がリスクを大きく上回る」と結論しています。
7. 他のワクチンとの同時接種
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新型コロナワクチンとの同時接種は可能(皮下+筋肉など部位を変えて接種)。
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高齢者では肺炎球菌ワクチンとの同時接種で、呼吸器感染症の入院リスクをさらに低減(JAMA, 2023)。
8. 接種による社会的効果
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医療従事者や学校教職員の接種により集団発生率が有意に減少。
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家庭内感染も最大60%減少(Ann Intern Med, 2022)。
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高齢者世帯や乳幼児のいる家庭では「守りのワクチン」として有用。
9. まとめ
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インフルエンザ予防接種は発症予防だけでなく重症化予防にも有効。
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2025年はA型(H1N1・H3N2)、B型両系統への対応株が含まれる4価ワクチン。
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最適な接種時期は11月中旬まで(高リスク者は10月から)。
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副反応は軽度が多く、利益が大きく上回る。
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